「私」からの離脱

2011年9月12日

私たちは誰もが「私」というものに執着します。つまり自分自身にです。

この「私」というもの、つまり自己意識は子供の頃から芽生えます。

そして大人になる過程で、もはや自己というものは私たちに深く根付きます。

しかし私たちは、いずれ「自己を持たない生き方」を学ばなければなりません。

 

人間の心の混乱と無秩序は、「私」という意識を中心にして起こります。

「私」が感じる恐怖、悲しみ、葛藤、怒り―

「私」という中心がなければ、このような感情は起こらないでしょう。

人間の心の苦しみは、「私」から起こります。

 

人間の苦しみの元凶が「私=自分=エゴ」であると気づき始めたならば、

そこから人生の方向転換が始まります。

それまでは、いかに自分を守り、固執し、それを保持するかの生き方でしたが、

これからは、いかに「私=自分」という足かせから自由になるかの問題になります。

 

このような生の方向転換が起こると、その人は自然に探究を始めます。

人間の心の苦しみとは何か、人間の自由とは何か、

生きるということはどういうことなのか―

 

それまでは外部の事柄や、自分の達成、願望、欲求のままに生きてきましたが、

今度は自分の内部に入って、精神的な生の探究を始めるのです。

自分自身を苦しめる元凶は何か、人間の心を縛っているのは何か。

それを理解するために、人は深い洞察力を持つようになります。

 

そして人はやがて気づきます。

人間の苦悩の元は、「私」というエゴに他ならないと。

「私」「自分」「自己」―に固執し続けることが、人間の苦悩を作ってするのです。

 

このことを真に理解するには、頭と言葉だけではなく、

実際に自分自身の体験を通して、全身で感じなければならないでしょう。

そうして初めて、心の深いところで学ぶことができます。


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