神秘の扉 マイスター・エックハルト NO.6

2013年4月26日

人間にとって最も強く、最も必要とされる全能の祈り、

さらにいかなるものにも勝る至高の行為、

それらは「虚心」から出るところのものにほかならない。

心が虚(きょ)であればあるほど、そこから出る祈りと行為は、

より強力で高貴なもの、より有益で賛美すべきものとなる。

まさに虚心こそ完全性を生み出すことができるものである。

 

虚心とは何か?

それは何ものも背負わず、何ものにも乱されず、

心は何ものにも縛られず結ばれず、自分の好みや欲望にも結び付けず、

またさらに自分の利益などまったく思うことなく、

ただひたすらに神の意志─宇宙─に身をまかせ、己の意志を棄却しきった心である。

 

その人間の為し得る日々の仕事がいかに小さなものであろうとも、

また取るに足らないと思えるようなものであろうとも、

もしそれが虚心から為されるものであるならば、

それは真に力あるもの、働きあるものとなるのである。


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