神秘の扉 マイスター・エックハルト NO.5

2013年4月25日

自らの精神の内で、または神の内で、そして全生命の内で、

自分自身を完全に捨て去った人こそ真の豊かさを持っている。

このような人の精神は最も低き場所へと身を退いたのであり、

そのような人の内に、神は自らの豊かさを余すところなく注ぎ込むのである。

 

私は永遠に変わらぬ善き真理にかけて言いたい。

どんな人でも自分自身を徹底的に捨て去るならば、

その人の内へ神は全力を挙げて自らを完全に注ぎ込まずにはおかない。

 

自分自身の全てを完全に捨て去るということは、

同時に神の全てを受け取るということである。

自分が「無」となることで、

神の全生命、全本質、全本性、全神性の一切を、

余すところなくその人間に注ぎ込む。

 

このように神に対して自分自身を捨て去り、

最も低き場所へと身を引く人─完全に無私である人─の内に、

神はみずからの豊かさを余すところなく注ぎ込み、

人間を真に、実り豊かにするのである。

 

キリストが「心貧しき人は幸いなり。神は彼のものである」

と言われたのは、まさにこのことなのである。


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