死の本質を理解する

2012年4月25日

「死」とは、人間の意識の終わりです。
私たち人間は一人一人意識を持って生きています。
人生とは意識の内容そのものであり、その意識の内容が私たち一人一人の人間です。

人間の意識の中身には、その人のあらゆる心の所有と欲望があります。
世俗的な成功や野心、地位や名誉、仕事や財産。
または精神的な支え、家族、友人、恋人とのつながり、
思い出、自分の夢、理想、自己実現、快楽、喜び、幸せ。
その他「自分」というものを支え、成り立たせているもの、
自分の才能、ステータス、生きがい、成功、達成。
さらには何かしらの信念、信仰、霊的(スピリチュアル)なものの追求と実現。

これら一切が「意識」です。
そしてその意識の中身が一人一人の人間の人生を構成しています。
人は意識によって生き、その意識の中身に依存しながら生きています。
その意識の中身がその人の心のよりどころ、心の支えであり、その人そのものです。

一人一人の人間の精神の安定はこの意識の中身がどうあるかにかかっており、
もし自分の心の支えである諸々の意識の中身を失うと、人は悲しみや絶望に陥ります。
私たちのほとんどは、意識の中身を、その心の所有を失うことを恐れ、
不安を抱えながら生きているのではないでしょうか。

その人を、そしてその人の人生を根底から支えているのは他ならぬその「意識」です。
意識の中身がその人の全てであり、その人を成り立たせ、生きる意義と生きがいを作り、
自己自身の生存理由となっているのです。
ですから、意識の中身を失うことは「自分」「自分の人生」が終わること、無に帰すことであり、
それこそ私たち人間が恐れていることではないでしょうか。
つまりそれは何もない完全な無への恐れ、消滅の恐れ、死への恐れです。

私たちは「この現実」を見なければなりません。
なぜなら、その現実はいずれ私たちのものに必ずやってくるからです。
ですから、生きているあいだにこの死の本質を見つめ、
そこから目を背けないことが極めて重要なのです。
そうしてのみ、人は死への恐れを持つことなく生きることができるようになるでしょう。

死を恐れないことは、意識の中身を失うことを恐れないこと、
つまり意識の中身に執着しないということです。


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