自己を捨てることを学ぶ

2012年4月9日

私たちにとっての心の執着物、依存の対象は、
私たち自身の「自己」を大いに満足させるものです。
それは自分の生きる意味、意義、価値を与えてくれるもので、
「これが私だ」「自分の人生だ」という活力を与えてくれます。
同時にそれは、心を満たし、慰めと安らぎを与えてくれるものです。

しかし、その「自分」を根底から支えてくれていた心の対象が失われると、
人は喪失感と絶望に陥り、その悲嘆と苦しみの中に沈み込んでしまいます。
これは、自己を喪失したことによって生じた心の広大な空白に対する苦悩です。

「自己」を失ってしまうことによって生じるのは「何もない」という絶望感、虚無感、
自分に対する無価値感、人生に対する無意味感であり、
こうして人は底なしの虚無に飲み込まれ、その暗闇から這い上がれなくなります。
何か心の支えとなるものが一つでもあればまだ心の逃げ道はあるでしょう。
しかしもはや心の対象をことごとく失い、
自分を支えるものが一切失われてしまったならばそこには虚無しかありません。

常に保持していた自己が失われたからこそ、
そこに途方もなく大きな喪失感が生まれるのであり、
それと同時に心の中にポッカリと虚無の暗闇が現れてしまうのです。

こういう状態にならないためにも、
私たちは自己に執着しない生き方を学ばなければなりません。
自己を捨てて生きること、そうして初めて心は自由になります。
初めから自己に執着せず、自己を捨てて生きるならば、
私たちは恐怖や不安に囚われることなく生活していけるでしょう。


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