自分を失いたくないという衝動

2012年4月6日

私たちが執着し、依存している快楽や享楽、
満足感を与えてくれる体験や我を忘れさせる活動といったものは、
「自分」を満たしてくれるもの、「自分」を支えてくれるものです。

ほかにも「自分」というものの存在意義や生きる意味を与えてくれるものや、
「自分」を成り立たせてくれるものは、私たちの心の支え、生きる支えとなります。
そうした心の対象、精神的な所有、支えが、
「自分」「私」というものを作り上げ、強固にしてています。

この「自分」を支え、成り立たせている心の対象、所有、生きる意義や価値が失われると、
「自分」というものが失われたように感じられ、心は空っぽの虚しさに陥ります。

満足を与えてくれる体験や活動、「自分」の生そのものを支えてくれている精神的な所有、
生きがいや生きる意味を与えてくれるもの、心の安定を維持してくれるのも—
それが何であれ、その対象への執着が大きければ大きいほど、
それを失ったあとに生じる虚無感というものもそれだけ大きくなります。
「自分」というものへの執着や依存が大きいほど、喪失感も大きくなるのです。

すべては自分を失いたくないという衝動から生まれる混乱であり、
自分に執着すればするほど恐怖や不安は増大していきます。

自由であるとは、自分を手離して生きるということです。
最初から「自分」というものを持たずに、それに固執することく生きるならば、
人はもはや「自分を失うこと」を恐れることはありません。

この自己放棄の生こそ、真の自由な精神のあり方であり、
この自由があってこそ私たちは安らぎに満ちた生を歩むことができます。


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