虚無の克服

2012年3月15日

人間の持つ恐怖、不安の根源的原因は、
「何もない虚無」に対する恐れ、不安です。
この果てしない虚無に対する反応、衝動が恐怖や不安の根です。

私たちは、自分が何もない無(虚無)に飲み込まれることを恐れます。
なぜなら、その虚無は「自分」というものを無にしてしまうからです。
意識するしないに関わらず、私たちは絶えずこの虚無に怯えながら生きており、
世間で見られるひっきりなしの娯楽や騒がしい軽薄な活動というものは、
まさにこの虚無からの逃走と言えるでしょう。

この衝動、逃避があるかぎり心の自由は決してありません。
では私たちは一体どうすればこの虚無の呪縛から解き放たれるでしょうか。
どうすればこの虚無を克服できるでしょうか。

虚無から逃げ続けても虚無を克服することはできません。
それではただ一時的な逃避、問題の先延ばしでしかありません。
問題解決の答えは一つしかありません。
それは、虚無から逃げないこと、むしろ全面的に虚無と向かい合い、
その虚無に留まり、そしてもはや虚無が気にならなくなるほどに、
虚無そのものに慣れてしまうことです。

その虚無を意識しなくなるほどに虚無に慣れるならば、
もはや「そこに」虚無はありません。
むしろ、虚無こそが人間の心の本当の自由をもたらすものだと悟るまで、
虚無に留まり続け、そして虚無に慣れるならば、
その虚無が心の真の静寂と平安をもたらすでしょう。

虚無とは、心の絶対的な静けさと同じです。
これまで私たちの心は虚無から逃げるために騒がしく動いていましたが、
そのように逃げること自体が心の混乱と苦しみであるという真理を見抜き、
もはや何もない空っぽの絶対の無に留まることが心の真の自由であると悟ったならば、
そのとき虚無との闘いは終息するのです。


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