思考の限界

2011年12月2日

人間の思考は、生の神秘に触れることはできません。
神秘は物質を超えた次元にあるものです。
しかし、思考は物質です。なぜならそれは頭脳の機能だからです。
思考はどこまでいっても頭脳の枠内にあります。

人が何を思考しようとも、それは物質的過程です。
思考は記憶にほかならず、記憶は過去です。
過去とは知識であり、知られうるものです。

知ることができるもの、知られうるものは神秘ではありません。
神秘は未知なるものであり、永遠に知りえないものだからです。
思考はそれ自体が既知なるものの領域にあり、
その思考が未知の次元に入ることはできません。

人は思考によって宇宙の彼方を想像したり、神の姿を考えたり、
または来世や異次元の世界を思い描いたりするかもしれません。
しかし、そのように思考した途端にそれは既知なるものとなり、
その時点で未知なる神秘ではなくなるのです。

もとより、頭の中でイメージされるものは真実でしょうか?
それは願望や理想に基づいた単なる妄想、幻想でしかありません。
本物の神秘は、頭の中のイメージにはありません。
思考、イメージ、観念—こういった全ては物質的過程にほかなりません。

物質を超えた次元、測り知れない神秘が現われるには、
物質的過程である思考が終わらなければなりません。
思考という限界づけられた動きが完全に静まることで、
そこに思考によっては触れられることのない無限の空間が生まれます。

その空間にこそ、未知なるものがあります。
それは広大無辺な未知の広がり、限りなき神秘の広がりです。
限界づけられた思考が終わることによってのみ、宇宙の神秘は開示されます。


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