命への執着

2011年9月30日

私たちの多くは、自分の命に執着します。
人間ならば「死にたくない」と思うのは当然のことかもしれません。
しかし、まさにこの命への執着が、多くの悲嘆と恐怖をもたらしています。

恐怖の根は、自分の命が失われてしまうことに対する心の動きにあります。
自分という存在、自分という命への執着が、悲しみと恐怖を作っています。
命に執着する限り、決して恐怖も悲しみもなくならないでしょう。

完全な自由とは、命への無執着を意味します。
それは完全なる自己放棄です。

自己自身の存在に執着しないこと、「私」に執着しないこと。
それは自分というものを捨てて生きることであり、
生きながら自分を”無”にする生き方です。
「命に執着しない」とは、そういうことです。

命に執着しないこと、自己を捨てるところに精神の自由があります。
自己執着があるところには恐怖と悲しみの牢獄があります。

自己とは、あなた自身の「経験」にほかならず、
あなたは「自分が経験できなくなること」を恐れるのです。
なぜなら死とは、「経験すること」の完全な終わりだからです。

自由とは、経験に執着しないことであり、
それは同時に自己自身に執着しないということです。
「自己=経験すること」から離脱した精神こそ、自由な精神です。


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