「私には力がある」という欺瞞

2012年12月12日

 

「自分は力を保持している」と思い込む人々がいます。

自分の力で霊的な成就や達成を成し遂げることができると思い込む人々の事です。

自分の力に固執し、それによって絶えず努力をするのですが、

そのような自己過信的な努力というのは、どこまでいっても人間のエゴです。

 

このようなエゴ、過度な自己執着というものは、

たとえば霊的な修行に専心したり、

見境もなく霊的な知識を得ようとする人々に多いです。

 

自分の中には神を知ることができる力がある、

人間として高い霊的な次元に達することができる、

他人とは違った徳の高い人間、霊的にレベルの高い人間になることができる。

そのように自分の力だけで何かを成し遂げられると思い込むのは、

独りよがりな自己中心的な考えです。

 

この力は、極めて悪しきものです。

自分を満たそうとするだけの心の欲望だからです。

このようなこのような考え方でしか生きていない人は、

他人や周囲に混乱をもたらし、また犠牲を作るだけでなく、

最終的には自分自身も破滅することになるのです。

エゴと自己執着のあるところ、行き着く先は必ず破滅なのです。

 

これとは反対に「謙虚さ」とは、絶えず自分を低めていくことであり、

「自分の力」という欺瞞、その誤った思い込みを持たず、

エゴなき、私心なき生き方をすることです。

そこから花開くのは、人としての美であり、善であり、真の徳です。

そしてそこから実るものは、智恵であり、自由であり、創造性です。

 

自分の力に執着する人は、決して命の真理を悟ることはないでしょう。

真に宗教的な生き方の基盤は、何より心から謙虚であることです。


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