心と記憶のつながり

2011年10月31日


心と記憶というものは密接に結びついています。
心の動きは、記憶を通して現れると言ってもよく、
心とは過去の運動です。

心は未来を思い描くこともできますが、
それは記憶があるからこそできることです。
記憶がなければ私たちは未来を思い描くことはできないでしょう。
つまり、心とは記憶なのです。

心は、記憶に依存しています。
そして心が記憶に縛られてしまうとき、人は自由を失います。
なぜなら、心が過去の記憶に執着するとき、
恐怖や不安や葛藤といった感情の混乱が起こるからです。

心は、過去の記憶です。
それは過去の快楽、喜ばしい思い出、幸福感などであり、
または苦痛、嫌な思い出、悲しみ—などを伴います。
どんな記憶であれ、それに縛られたままならば自由はありません。

自由とは、心を過去から解き放つことです。
心と過去は一つのものですから、
過去に縛られないということは、心そのものに縛られないということです。
つまり、心が完全に静まった時にこそ自由があります。
心はもう過去を省みることはありません。

心が完全に静止し、沈黙するとき、もはや過去はありません。
そのとき人は、「今この瞬間」を生きます。
「今この瞬間」を生きるところには、いかなる心の混乱もありません。
なぜなら、心は完全に沈黙しているからです。
この沈黙の中に、人間の心の平安と自由があります。


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